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相続の申告おいてよくある2つの事例 現地確認の重要性と両親とのお金の精算について

相続の申告においてよくある事例として参考にしていただきたいことが2つあります。1つ目は、所有している場所がよくわからない土地の相続手続きについて。2つ目は、両親の生活費を相続人である子が立て替えている場合の相続手続きについてです。このふたつの事例は、実際によくある話ですので今回紹介していきます。

【1つ目】現地確認は重要

静岡県東部では、相続財産に畑や山林をお持ちの方が多くいらっしゃいます。
2代、3代と先祖代々受け継がれてきた土地が多いです。

相続人より「昔両親に連れられて行ったことがあるが、それ以来行っていないので場所をよく覚えていない」というお話を聞くことがよくあります。

相続税の申告のためには場所を特定する必要があるので、公図(土地の図面)や市役所、役場などで土地の場所の確認を行っていくことになります。

そして確認と同時に土地の評価も行います。市街地にある畑や山林は「路線価」で評価することが多いですが、市街地ではない畑や山林は「倍率表」をもとに評価することが多いです。

「路線価」と「倍率表」は国税庁のHPに掲載されています。
参考:https://www.rosenka.nta.go.jp/ (下記にリンクあり)

今回は市街地の「路線価」で評価する畑や山林ではなく「倍率表」で評価する畑や山林についてお話します。

この場合の相続税評価額は「固定資産税評価額×倍率表に記載されている倍率」で計算します。
固定資産税評価額は市町村で取得する「名寄帳」を確認します。そこに固定資産税評価額や登記地目と課税地目も記載されています。もともとの地目は何か、現在の固定資産税を課税している地目は何か、を一緒に確認します。

例えば登記地目が「畑」で、課税地目も「畑」のケースの場合、課税地目が「畑」となっているので、名寄帳に記載されている固定遺産税評価額に国税庁の倍率表に記載されている畑の倍率を使って評価額を算出します。

路線価図・評価倍率表へのリンク

【1つ目】課税地目が現況と違う場合は?

土地の場所の確認と評価が終わった後、現地を確認しに行きます。
この現地確認がとても重要になります。

畑だと思い現地に行くと、畑が見当たりません。
あるのは木が覆い茂る山林です。

昔は畑として利用していたが、その後管理する人がいなくなり山林のようになってしまっているようです。

先程の名寄帳には課税地目が「畑」となっているため、畑の固定資産税評価額になっています。
しかし現況が山林であるならば山林の評価をしなければなりません。

市役所、役場でその土地が山林であった場合に利用する「近傍地山林評価額/ ㎡」を確認します。
その評価額に当該土地の地積をかけたものが、当該土地の山林としての固定資産税評価額となります。
そこに倍率表にある山林の倍率をかけることにより、その土地が山林である場合の相続税評価額が算出されます。

実際に過去には何回か、畑のはずが山林であったというケースがありました。
畑より山林の相続税評価額が低い傾向にあります。
相続税にすると数十万円の差がでることがあります。

上記以外にも実際にあったこととして、宅地と表記されているが実際には絶壁の崖地であったことや、高低差のある法面であったケースもあります。こうなると同じ宅地でも財産価値は違いますので評価減を検討する必要があります。

平面の図面や数字だけでは判断できない要素が不動産にはあります。
しっかり現地に行き、確認することが重要であることがわかっていただけると思います。

【2つ目】両親とのお金の精算をしていますか?

両親の生活費を立て替えて支払っているという方はけっこういらっしゃると思います。一緒に買い物に行って立て替えたですとか、両親の老人ホームなどの施設代を子の通帳から引き落としている等のケースです。

もし立て替えて支払っているものがあるならば、きちんと精算をする必要があります。

相続が発生した際、よく相談があるのが亡くなった方の生活費を立て替えていたので精算したいというお話です。この場合、立て替えていたことがわかる書類の確認が必要となります。

子の通帳からの引き落としについては内容がわかれば立替金としてみることができます。ただし、それ以外の買い物で支払った金額などは、レシートや領収書があれば判断することができますが、ない場合は判断が難しくなります。

そのため、普段から立て替えて支払うことがあるのであれば、レシート、領収書の紛失などでわからなくなる前にすぐに立て替えの精算をしてください。

特に子が全員実家から離れて生活している場合は、両親のために立て替えて支払うことが多いと思います。実家に戻る都度精算することをおすすめします。

実際に老人ホームの施設費用などを子の通帳から引落ししているケースは、合計金額を立替金として債務計上をしたことがあります。本来は両親の生活費ですので、子が立て替えたものを債務控除するのはなんら問題ありません。

しかし立て替えていることがわからないのであれば債務計上することは難しくなります。できればすぐに精算をして相続の際に困らないように準備しておいてください。

また、都度精算するのが大変ならば、子が普段利用している通帳以外の通帳に両親からお金を移し、そちらで取引内容がわかるよう管理してください。相続が発生した場合はその通帳の残高を相続財産に計上すれば問題ありません。子側で管理をするというのも一つの方法となります。

まとめ

今回は、相続の申告においてよくある事例を2つご紹介しました。

お伝えしたかったことは、所有している土地の現地確認をすることで相続税額を少しでも低くできる可能性があるということと、生活費の立替精算をすることで少しかもしれませんが相続税額を減らせる可能性があるということです。

木村美都子税理士事務所では、上記のような具体的な相談や、相続のことで心配していること、困っていることの相談を随時受け付けております。少しでも相続税を少なくできるように一緒に検討いたします。どんなに些細なことでもかまいませんのでまずは一度お問合せください。