相続税額に数百万円の差が出る?土地評価の重要性と対策

相続税申告で最も判断が難しく、税額に大きな差を生むのが「土地」です。評価の仕方次第で納税額が数百万円以上変わることも珍しくありません。今回は「市街地農地」の具体例をもとに、土地評価の専門性と、早期相談がいかに重要であるかを詳しくお伝えします。
土地評価の基本と「補正」の重要性
相続税における土地の評価は、原則として国税庁が定める「財産評価基本通達」に基づいて行われます。
主な評価方法は、道路に面した標準的な価格をもとに計算する「路線価方式」と、固定資産税評価額に一定の倍率を乗じる「倍率方式」の2種類です。
しかし、単に計算式に当てはめるだけでは、適正な評価とは言えません。
たとえば、形が歪(いびつ)な土地や奥行きが極端に長い土地、あるいは人に貸している土地など、その場所ごとの「個性」や「権利関係」によって評価は変わります。
これらを精緻に分析することで、初めて「実態に即した評価」が可能になります。
そして、その評価誤りを防ぐために欠かせないのが、図面の上だけでは分からない「現地確認」です。
主な評価方法は、道路に面した標準的な価格をもとに計算する「路線価方式」と、固定資産税評価額に一定の倍率を乗じる「倍率方式」の2種類です。
しかし、単に計算式に当てはめるだけでは、適正な評価とは言えません。
たとえば、形が歪(いびつ)な土地や奥行きが極端に長い土地、あるいは人に貸している土地など、その場所ごとの「個性」や「権利関係」によって評価は変わります。
これらを精緻に分析することで、初めて「実態に即した評価」が可能になります。
そして、その評価誤りを防ぐために欠かせないのが、図面の上だけでは分からない「現地確認」です。
「市街地農地」の評価
以前、あるお客様から相続税申告のご依頼をいただき、まずは机上で資料を確認して財産目録を作成し、ご説明に伺ったときのことです。
お客様が保有している土地は「市街地農地」でした。
市街地農地とは、市街化区域内にある農地のことで、将来的に宅地転用される可能性が高いため、評価額が高くなりやすい傾向があります。
評価の際は「宅地比準方式」といって、「もしその土地を宅地とした場合の価額」から「宅地にするために必要な造成費」を差し引いて計算します。
当初、住宅地図や公図を確認した段階では、ご自宅の裏にある一般的な畑という印象でした。そのため、標準的な造成費を控除して評価額を算出し、現地確認を兼ねてご自宅へ向かいました。
現地に到着すると驚く光景が目に飛び込んできました。ご自宅の裏には、2階の高さを優に超える「崖」が立ちはだかっています。
お話を伺うと、畑はその崖の上にあるとのことでした。
あぜ道を歩いて登らなければ辿り着けず、平地にある農地とは全く状況が異なっておりました。
現地確認を行ったことで、以下の懸念点が浮上しました。
•路線価の矛盾: 自宅前の道路の路線価をそのまま適用すると、評価額は宅地並みの高水準になること。
•宅地化の困難性: 現実的に考えて、この高さまで登るための道路を造り、崖が崩れないよう巨大な擁壁(ようへき)を設置してまで宅地化することが、経済的に合理的と言えるのか。
お客様が保有している土地は「市街地農地」でした。
市街地農地とは、市街化区域内にある農地のことで、将来的に宅地転用される可能性が高いため、評価額が高くなりやすい傾向があります。
評価の際は「宅地比準方式」といって、「もしその土地を宅地とした場合の価額」から「宅地にするために必要な造成費」を差し引いて計算します。
当初、住宅地図や公図を確認した段階では、ご自宅の裏にある一般的な畑という印象でした。そのため、標準的な造成費を控除して評価額を算出し、現地確認を兼ねてご自宅へ向かいました。
現地に到着すると驚く光景が目に飛び込んできました。ご自宅の裏には、2階の高さを優に超える「崖」が立ちはだかっています。
お話を伺うと、畑はその崖の上にあるとのことでした。
あぜ道を歩いて登らなければ辿り着けず、平地にある農地とは全く状況が異なっておりました。
現地確認を行ったことで、以下の懸念点が浮上しました。
•路線価の矛盾: 自宅前の道路の路線価をそのまま適用すると、評価額は宅地並みの高水準になること。
•宅地化の困難性: 現実的に考えて、この高さまで登るための道路を造り、崖が崩れないよう巨大な擁壁(ようへき)を設置してまで宅地化することが、経済的に合理的と言えるのか。
「宅地化が困難な土地」をどう評価するか
このように、理論上は宅地転用が可能でも、現実的には極めて困難なケースがあります。
•建築基準法上の接道要件を満たせない
•道路との高低差が大きく、莫大な造成費用がかかる
•土地の形状や周囲の状況から、宅地造成が事実上不可能
このような土地を、一般的な市街地農地として画一的に評価してしまうと、実態とかけ離れた過大な税負担を強いることになってしまいます。
今回の事例では、宅地化の経済的合理性がないことを客観的に整理し、「純農地」に近い評価基準を採用できる可能性を検討しました。
純農地は、宅地化の影響を受けないものとして、固定資産税評価額に国税局長が定める一定の倍率を乗じて評価します。宅地並みの課税となる「宅地比準方式」に比べ、評価額を大幅に抑えることが可能です。
この評価方法を採用した結果、当初の想定よりもお客様の税負担を大きく軽減することが可能となりました。
•建築基準法上の接道要件を満たせない
•道路との高低差が大きく、莫大な造成費用がかかる
•土地の形状や周囲の状況から、宅地造成が事実上不可能
このような土地を、一般的な市街地農地として画一的に評価してしまうと、実態とかけ離れた過大な税負担を強いることになってしまいます。
今回の事例では、宅地化の経済的合理性がないことを客観的に整理し、「純農地」に近い評価基準を採用できる可能性を検討しました。
純農地は、宅地化の影響を受けないものとして、固定資産税評価額に国税局長が定める一定の倍率を乗じて評価します。宅地並みの課税となる「宅地比準方式」に比べ、評価額を大幅に抑えることが可能です。
この評価方法を採用した結果、当初の想定よりもお客様の税負担を大きく軽減することが可能となりました。
まとめ
土地の評価は、机上の資料だけで完結するものではありません。
現場に足を運び、高低差を肌で感じ、周囲の環境を観察する。そして、その「宅地化が困難である事情」を税務署に対して客観的・合理的に説明できる資料を整える。このプロセスこそが、相続税申告における税理士の付加価値となります。
しかし、こうした特殊な要因を持つ土地の調査や検討には、相応の時間がかかります。
•現地の測量や写真撮影
•役所での開発規制の調査
•類似事例の判例確認
これらを申告期限の間際になってから行うとなると時間との戦いとなってしまいます。
もし、相続された不動産の中に、「高低差がある」「形が複雑」「道路に接していない」といった少しでも気になる土地がある場合はぜひお早めにご相談ください。
余裕を持って準備を進めることが、最終的に「納得感のある適正な納税」へと繋がっていきます。
木村美都子税理士事務所では、これまでの経験や知見をもとにご相談にお応えしております。
無料相談も随時行っておりますのでお気軽にご相談ください。
現場に足を運び、高低差を肌で感じ、周囲の環境を観察する。そして、その「宅地化が困難である事情」を税務署に対して客観的・合理的に説明できる資料を整える。このプロセスこそが、相続税申告における税理士の付加価値となります。
しかし、こうした特殊な要因を持つ土地の調査や検討には、相応の時間がかかります。
•現地の測量や写真撮影
•役所での開発規制の調査
•類似事例の判例確認
これらを申告期限の間際になってから行うとなると時間との戦いとなってしまいます。
もし、相続された不動産の中に、「高低差がある」「形が複雑」「道路に接していない」といった少しでも気になる土地がある場合はぜひお早めにご相談ください。
余裕を持って準備を進めることが、最終的に「納得感のある適正な納税」へと繋がっていきます。
木村美都子税理士事務所では、これまでの経験や知見をもとにご相談にお応えしております。
無料相談も随時行っておりますのでお気軽にご相談ください。