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弊社は、生前対策、相続税申告、相続後の理想の生活のお手伝いまでを相続業務と捉えています。

両親の相続のことで、長男の方が相談に来られました。相続税の心配と、子は自分1人のため、いずれ全ての財産が相続されることになるのでその後どうすればいいのかという内容の相談でした。相続はけっして申告をしたら終わりというわけではないという事例になります。順を追って見ていきます。

生前の相続対策

まずはご両親の相続シミュレーションを実施しました。

財産の内訳ですが、不動産を多く所有していました。相続税額の目安を確認し、納税資金をどうするか確認しました。両親と長男の金融資産では、相続税額の目安には少し足りない結果となりました。

何か納税対策はできないかと考え、所有不動産のことをさらに詳しく聴き取りしました。

その中に、土地と建物を賃貸している物件がありました。以前からそこの借主より不動産の買い取りの相談を持ちかけられていたそうです。賃貸収入がなくなるのを両親は心配し売却に踏み切れずにいたそうです。

しかし、老後の生活資金としては十分な金額で売買ができそうでした。
長男もサラリーマンで仕事をしているため、賃料がなくなっても困ることはありません。

そのため、売却した後に相続が発生した相続シミュレーションを実施しました。
売却することにより、不動産の一部が金融資産になり、相続税の納税資金の準備ができるようになります。

さらにその金融資産で、一時払い終身保険に加入し死亡保険金の準備をし、死亡保険金の非課税限度額を利用することを提案しました。

その結果、その不動産は売却することにし、その売却代金で納税資金の準備と死亡保険金の相続対策を実行しました。他に両親が元気なうちは暦年贈与を実行し、相続税対策をしていこうということにもなりました。

相続の発生

父の相続の発生

暦年贈与を実行していこうと話をしていた翌年、お父様が亡くなられました。
暦年贈与はできませんでしたが、相続税の目安もわかっていたので、納税については安心していました。

そのためこの相続で検討したことは、お母様の万が一のときの相続、二次相続のことでした。
お母様の相続もそう遠くない将来起こると考えておりました。
そのため、今回のお父様の相続と次のお母様の相続の両方で、相続税が低く抑えられるような遺産分割を検討したわけです。

お母様も不動産などの財産を所有していたため、お母様の相続でも相続税が発生することはわかっておりました。そのため今回はお母様と長男の相続に対する想いを優先し、その中でも相続税ができるだけ抑えられる遺産分割案を話し合いました。

自宅の敷地が広いため、小規模宅地等の特例の適用を工夫しました。
小規模宅地等の特例とは、相続開始直前において、被相続人または被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業や居住の用に供されていた宅地のうち、一定の要件に該当する場合はその宅地の評価額を一定の面積まで減額することができる特例です。

今回の相続では自宅の敷地をお母様と長男の共有で相続し、生計を一にしていた長男が「小規模宅地等の特例(特定居住用家屋)」を適用できるようにしました。

次に母の相続が起こった場合でも、母にも自宅の敷地の持分があるため、長男が小規模宅地等の特例を利用できるように工夫をしたわけです。

話し合いは順調に進み、お父様の相続はスムーズに終えることができました。

母の相続の発生

お母様の相続はその5年後に起こりました。

お母様自身で所有している不動産などもあり、相続税が発生することになりますが、相続人は長男1人ですので遺産分割協議の必要はなく、大きな問題はありません。

生前に納税資金の確認もできていましたので、上記の小規模宅地等の特例を利用し、こちらも申告までスムーズに事を運ぶことができました。

相続後の対応

ここから相続後の話になります。

ご長男はサラリーマンのため、不動産を所有していても固定資産税がかかり管理も手間なので、自宅以外は処分したいという考えでした。

そのため、まず所有不動産で何か活用できることはないか、大手ハウスメーカーや不動産屋に一緒に相談してみました。その結果、戸建て分譲として活用するのが一番だという結論に至りました。そのため所有不動産は売却するということで話を進めました。自宅の敷地も広いため、一部売却をしたいとの話もでました。

ここで注意することがあります。相続税の申告の際に小規模宅地等の特例を利用している場合、相続税の申告期限までその土地を所有していることが要件になっている場合があります。そのため今回は相続税の申告期限を待って売却の契約をするように話をしておきました。

最終的に自宅以外の不動産は売却することになりました。
事前に売却後にかかる所得税(譲渡税)も確認し、確定申告も当事務所で行いました。

これで生前に相談されたことの全てが無事に終わったことになります。

まとめ

今回は生前より相続シミュレーションを実施し、事前の相続対策も行いました。そのおかげで相続の申告もスムーズに行うことができました。

ご両親は、先祖から相続してきた土地を売却することについて抵抗がありました。その想いを考慮し、納税資金の確保のために最低限の不動産の売却をすることにしました。結果、相続税を無事納めることが可能になりました。

相続後は残された長男の想いも考慮し、その他の不動産を売却する段取りをお手伝いしました。

このように相続前からお客様と関わりを持たせてもらったことで、家族皆様の想いを汲んだ相続対策、相続を実現することができました。

相続のことで何か心配なことがございましたら、まずはご相談いただければと思っています。現状を一緒に分析していくことで、どのような対策が取れるのか、生前対策から相続後の対策までをご家族の想いを大切にしながらご提案することが可能になります。

毎回お伝えしていますが、ご相談が早ければ早いほど、取れる策が多くなってきます。
どんな些細なことでも問題ありませんので、少しでも気になることがあればどうぞ気軽にご相談ください。