木村美都子税理士事務所 木村昌宏税理士・社労士事務所

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セミナー情報・ニュース

2013年06月12日
「経営センスの論理」 

第19回ビジネス倶楽部の講師としてお越しいただいた楠木建先生が新しい本を出版されました。
あの大ベストセラー「ストーリーとしての競争戦略」から3年ぶりの新刊です。
今回は新潮新書から新書として販売されました。新書なので740円と格安!
経営者の方にぜひ読んでいただきたい本です。
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今回のブログでは、税理士の視点から簡単にこの本を要約+感想を記載してみました。

P.15~
「異性にモテる・モテない」。
これはスキルよりセンスが重要となる典型例だ。
モテる人にはセンスがある。モテない人はセンスがない。

スキルとセンスをごっちゃにすると、だいたいスキルが優先し、センスは劣後する。

ところが、本来はセンスの問題であるはずのところをスキルとすり替えてしまうと、悲惨なことになる。
モテようと思って雑誌を読む。
「こうするとモテますよ!」というスキル(めいたもの)が山のように紹介されている。
そこにあるファッションやデート方法をそのまま全部取り入れたら、ますますモテなくなる。

担当者レベルで必要となるのがスキルであり、アナリシス(分析)的発想の産物である。これに対して、戦略の本質はシンセシス(総合)にある。スキルをいくら鍛えても、優れた経営者を育てることはできない。スーパー担当者になるだけだ。


スキル≒戦術 スキルの向上→スーパー担当者
センス≒戦略 センスは分析を総合すること力→経営者の仕事
経営者の仕事と担当者の仕事には明確な違いがある。

P.32 ~
ビジネスの根本原則を再確認する必要がある。それは、「自由意志」だ。
誰からも頼まれていない、強制されていない、商売は自分の意志でやるものだ。
自由意志はあらゆるビジネスの大前提のはず。

にもかかわらず、経営者自ら「・・・せざるを得ない」と言ってしまえば、もはや経営の自己否認以外のなにものでもない。
言った瞬間、商売の根幹が失われる。
生き残りもいいけど、生き残って何をしたいのか。

経営者にはこっちのほうを語ってもらいたい。


「だって、でも、だけど、どうせ」、これらのネガティブワードをD言葉と言うそうです。

景気が悪いから、政治が悪いから、本当は経営者になるつもりなんて無かった、このような言い訳をしてしまっては、元も子もないのです。つまり、そんなに外部環境等が原因でビジネスがうまくいかないと思うのであれば、別の場所で別のことでもすれば良いのです。
海外で暮らすことを選択してもいいし、違う仕事を探しても良いわけです。

そういう選択をしないのであれば、今の仕事を頑張った方がどんなに良いでしょうか。

P.153 ~
「専業」の国、日本

日本企業がこれからの方向性を考えたとき、「専業」がひとつのキーワードになると考えている。
専業度の高い企業は、変化への対応も実にしぶとい。
一意専心ゆえの技術や経営資源の蓄積が転換を可能にした。

これに対して、ポートフォリオを最適化することによってうまくやっている企業は日本にあまり多くない。そもそもポートフォリオ経営で求められるセンスは金融のそれである。
金融業が得意な国はポートフォリオ経営もうまい。
「ポートフォリオの概念が日本人にはない」。ポートフォリオ経営の本質は過去を忘れる力である。
これがどうも日本人は苦手なのだ。


確かに顧問先の中でも、あれもこれもやっていて上手くいっているという会社を見たことがありません。
少ない資金や人材を、何に・どこで・誰に投入するのか。
これが戦略の肝かと思います。

P.172~
ビジネスでも新興業界の若い会社(ベンチャー企業とか)の方が、戦略がポジション志向になる。
これに対して、業界や企業が成熟してくると、ポジショニングだけでは違いが維持しにくくなる。
成熟とともにポジショニングから能力へと戦略の軸足がシフトする傾向にある。


今の日本の企業の多くが成熟期に入り、ポジショニング戦略だけではやっていきにくくなっているのだと実感します。
しかし、結局は、ライバル他社がやっていないことを見つけること、すなわち良いポジションを見つけることが重要で、それを見つける能力が経営者には必要になるのだと思っております。

P.204~
相当に高い確率で、「働きがいのある会社」と「戦略が優れた会社」は重なっているといえる。
戦略は「こうなるだろう」という未来予測ではない。
「こうしよう」という未来への意思が戦略だ。
だとしたら、「人間はイメージできないことは絶対に実行できない」という真実が重みをもってくる。
言われてみれば当たり前の話なのだが、現実の経営では、この「当たり前のこと」がわりとないがしろにされているように思う。


「優れた戦略」のバロメーターが「働きがい」である。
戦略は経営者が発する未来への明確な道標であり、未来への道標を楽しくストーリーとして語ること、それこそが経営者の仕事なのだと思います。

もちろん、楽しくストーリーとして語るためには、相当の戦略立案の思考、すなわち「抽象」と「具体」の往復運動が必要で、大変な作業だと思います。だからこそ、限られた人だけが経営者になれるのだと思います。

以上、書籍からの抜粋と感想です。
前回の「ストーリーとしての競争戦略」に比べ、新書の分、かなり読みやすくなっております。
出張の移動中に簡単に読めると思います。
ぜひ経営者の皆様に読んでいただきたい1冊です。

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