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前回はランチェスター戦略との出会いとそれが経営支援の礎になっていることを紹介した。では、戦略立案力が備わっていれば、会社の永続的黒字経営は可能なのであろうか。
もちろん、それは大きな要素だと思っているが、もう1つ大きな要素があると思っている。それは、「人格力」である。戦略を考えるのは経営者であり、その経営者の土台となっているものが人格だからだ。しっかりとした人格的な土台があってこそ、戦略を考え続けられるのだと思うし、正しく実行に移していけるのだと思うし、何より人からの信頼を得ていけるのだと考えている。
「会社は社長の器を超えない」とずっと言われてきており、後継者である私もそこを磨く必要性を感じていた。その際に出会った書籍が『7つの習慣®』である。全世界で4000万部、国内240万部を超えて今なお読み続けられている不朽の名作である。
経営力 = 人格力 × 戦略立案力 会社は社長の器を超えない
と言っても、当時の私は500ページ超の翻訳の書籍を目の前にしてさすがにすぐに読む気にはなれなかった。なので、まずは研修に参加してみようということで、東京青山で行われたコヴィー博士の来日講演付の2日間の研修に参加した。
けっこうリピート率も高いのか、講師の講義中に独自の用語がかなり出てくる。リピーターは頷いて聞いているのだが、当然私には呪文にしか聞こえない。また、隣の方とのワークもあり、その方から〇〇を知っていますか?なんて聞かれるのだが、当然知るはずもなく。
ただ、初めて聞くことはとても新鮮なことばかりで、とても学びになった。特に、影響の輪、関心の輪という概念で説明された主体性の話は印象的だった。
すぐに結果が出ないこと、その時構築されていたしくみへの不満など、当時の私はどちらかというと何かのせいにしようとしていたと思う。しかし、自分の行動次第でうまくいっていないことを好転させることはできるし、そもそもその環境を作ってきたのも自分なんだと自覚できたら、自ずと不満よりも覚悟の方が上回っていった。
ちなみに、コヴィー博士の日本での講演はこれがラストであった。貴重な講演となった。今は、『7つの習慣®実践会』を開催できるファシリテーター資格を取るまでになり、実際に多くの方と共にずっと学び続けている。
そんな時に著者本人から講演を受けたその経験は、私の中でのちょっとした誇りと大いなる責任として刻み込まれていることを自覚する。コヴィー博士にはなんとも言えないオーラが漂っており、終始穏やかな雰囲気の中講演は行われた。
7つの習慣は私のミッション・ビジョン、そしてそれは弊社のクレドにも多大な影響を与えている。弊社はコアバリューを「誰もが皆、良い影響力の起点となれる」としている。これには自らが主体的に動くことで周囲の人に良い影響を与えていこう、そしてそれが仮にどんなに小さなことだったとしても、それは世の中を良くしていると信じて日々の仕事に取り組くんでいこうというメッセージがこめられている。
すぐに劇的な変化は起こせなかったとしても、経営者に日々気づきや知識を提供していくことで、少しずつ会社は良い方向に向かっていく。そのことを誰よりも信じ、経営者の力となり、地域の中小企業の発展に、そして地域の繁栄に貢献したい、そのような想いに繋がっている。
(税理士・社労士・経営者)=題字も筆者