木村美都子税理士事務所 木村昌宏税理士・社労士事務所

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セミナー情報・ニュース

2022年08月01日
ビジネス理論はスポーツで通用するのか?

今回は、木村昌宏が長年かけて蓄積してきた経営支援のノウハウがスポーツでも通用するのか、そんなことを見ていく。

結論から言うと、個人的には通用すると考えている。

また、現に通用したと思っている。

と言うのも、先日行われた全国中学生フェンシング選手権大会(以下、全中)の団体戦で実証実験が済み、そして一定の成果も出たからだ。

まず、使ったビジネス理論を挙げる。
・戦略思考(勝ちやすきに勝つ)
・ペップトーク(良い掛け声)
・他喜力/終わりを思い描く(自分のためだけでなく、他人のためにも。勝利の先をイメージ)
・シナジーをつくりだす(相乗効果、強みを活かし、弱みを補いあう)

元々スポーツで蓄積された理論や、人生における原理原則もあると思うが、私はビジネスを行う上で知り活用しているので、私にとってはビジネス理論なのだ。ゆえに、ここではビジネス理論ということにしておく。

では、ビジネス理論が通用した、成果が出たとはどういうことなのか、その内容についてまず確認する。

全中とは、中学生におけるフェンシングの甲子園のようなものだ。全国の中学生が参加対象で、選ばれたフェンサーが1年に1度東京に集結し試合を行い頂点を決めるものだ。個人戦と団体戦があり、今回の成果は団体戦でのものとなる。

私はフェンシングに関しては素人だが、メンバー3名の親御さんからの依頼もあり監督を務めた。ウォーミングアップでレッスンをできない監督はおそらく私だけだったと思う。

気になる結果は、全28チーム中3位。
堂々の入賞である。
賞状、トロフィーをチームに持ち帰り、メダルを参加者全員が手にすることができた。

3位÷28チーム≒10%
上位10%に入るとメダル獲得という計算になる。

ちなみに、団体戦は3名×3名で対戦をする。
予選は勝利数が多いチームの勝利。
トーナメントは先に2勝した方が次に進めるというルールだ。

団体戦に先んじて前日、前々日に個人戦があった。
3名のメンバーの個人戦の結果は平均すると上位25%だった。
なので全員が上位10%の実力を持っているわけでないので、約15%分はチーム力で補ったと言って良いと思っている。

では、そのチーム力はどのように生まれたのか。
そこにビジネス理論の応用があった。

まず、戦略思考(勝ちやすきに勝つ)。
対戦相手をとことん分析し、勝てるメンバーから並べた。まぁこれはどのチームもやることだろう。何よりこれをチーム皆で話し合ってやれたことが良かったのだと思っている。「私はこの人になら勝てると思います。任せてください」。「3番目まで行ったら勝ち目がない。2人頑張って」。「ならこの順で行こう。任せた!」。このような会話があったからこそ、良い意味で勝ってくるという責任感が本人に生まれたのだと思う。

ただ、それだけではプレッシャーになってしまう可能性もあった。そうならないために、声掛けの仕方はかなり意識をした。ペップトークという書籍を読んだことがあり、かなり参考にした。

そもそも、皆それぞれにそれなりの実力はあると感じていた。しかし、あと1点という所で負けるシーンをよく見ていた。その1点を取りきるためにこの声掛けを取り入れたのだ。私が率先してやることで、チームの皆も同じような声掛けができるようになった。1人で戦う中、背中から聞こえてくる仲間の声が大きな後押しとなり、チーム皆で戦っている気持ちになれたのだと思っている。

そして、もう1つ接戦になった時の大きな後押しになったものが、他喜力/終わりを思い描く力だったと思っている。自分のためだけではなく、お世話になった方々の存在を意識することで生まれる力。コーチ、仲間、市役所の方、そして親。日々お世話になっている感謝とそこに対するお礼の気持ち。大切な人を喜ばせようと思って発揮される力。これは大きな力だった。同時に、メダルを獲得し感謝と共に結果報告をしているシーンもありありと皆で思い描いた。そうすることで、目標が定まり、当日やるべきことが整理され、決意も固まった。

これらは全てが違う3名の個性が融合し、シナジーを生み出すための準備だったと言って良いだろう。戦力的に必ずしも優位にはないチームが勝つためには、お互いの強みを活かし、弱みを補いあい、結果として相乗効果を生む以外に勝利はないと考えていたからだ。

そして正直びっくりするくらいに全てがうまくいった。
シナジーが間違いなく生まれていた。

全中には前年も参加しており、1年間かけて策を練る時間はあったし、何よりメンバー3名が1年間よく練習したからこその結果だ。皆が頑張っていることを知っていたからこそ、監督としては良い成績を収めさせてあげたかったし、親御さんにも良い報告をしたかった。うまくいって本当に良かった。

誰かが調子が上がらない時は誰かが頑張り、誰かが想定外で負けてしまった時は誰かが取返し補いあえた。メダルがかかった最後の試合は5点先取の試合で途中まで2-4で負けていた。絶体絶命のピンチだ。1点取られたら終わりの状況だ。しかしそこから3点連取し、メダルを確定させた。これはもう奇跡に近い。個人の力だけではない何かが作用していたとしか思えなかった。

スポーツでも、ビジネスでも、もちろん日常生活でも、このようにシナジーが生まれる時の感覚には特別なものがある。そうそう起こるものではないかもしれないが、意識していれば起こりやすくなるだろうし、逆に日常的に意識していなければなかなか起こせないものなのかもしれない。

長々と記載してきたが、学びは色々なところで繋がっているなと改めて思わせてもらえた監督経験だった。このようなチームが一つになるシナジー体験をより多くの中小企業経営者にも味わってもらいたいなと思っている。また今回参加した選手3名にはぜひこの経験を糧に、今後より良い人生を送ってもらいたいと思っている。こういう学びを仕事上ではなく得られるのがスポーツの良いところなのだと思う。家庭で、学校で、社会で、こうしたシナジーを起こせるような人材になっていただき、周囲に良い影響をどんどん与えていってくれたら、この夏の体験はきっと大きな財産になるものと信じている。

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