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本日は以前投稿した新将明氏の『社長が押さえておくべき 30の基礎科目 経営の教科書』ダイヤモンド社 2009年の続きです。
P.62~67から引用。
経営者として「大局観」を身につけたい、とはよく聞く言葉である。理念やビジョンを考えるときにも、あるいは情熱をより強固なものにするためにも、さらにはリーダーとして多くの社員を率いていくにも、人間力や人格においても、大局観は大きな意味をもってくるというイメージがあるからだろう。事実、そうだと私も思う。…
私は、自ら大局観を忘れることのないよう、自戒のツールとして使ってきた言葉がある。それが「多・長・根」だ。これは陽明学の思想を私が覚えやすくまとめた言葉である。・・・
「多」は多面的・複眼的に物事を見ること、「長」は短期ではなく長期で見通すこと、そして「根」は枝葉末節ではなく根本に注意をむけること、という意味である。大局観を持って正しい判断をするためのエッセンスである。
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経営者とは意思決定者である。当然、意思決定をするときにはいろいろな迷いがあるが、私は迷うたびに、「多・長・根」という言葉を念仏のように唱えてきた。同時に社員に対しても「多・長・根」を説いた。そうすることで、大きな失敗は限りなく少なくなり、近視眼でも短期でも枝葉末節でもない、大局を見る眼力が養われてくる。
「着眼大局、着手小局」とはよくいわれることだが、経営者は小さなことを理解しながらも、つねに全体最適を考えることが求められる。鳥瞰図と虫瞰図、という言葉もそれを表している。現場で這いつくばって細かいことを見ながらも、空へと伸び上って高みから全体像を見ようと努めなければいけない。
以下、補足コメントです。
私は税理士・社労士、キャッシュフローコーチ等の前に、経営者でありたいと思っています。なぜなら、できる限り自分が経営で実践したことをコーチングやコンサルティングのサービスとしていきたいと考えているからです。そうすることによってサービスにリアリティが増す、そう考えているのです。もちろん、自分が経験していないこともご提供することができれば幅が広がりますのでそこにも挑戦しますが、私の強みはやはり30名近くのグループ会社の戦略を練り、しくみを作り、実践しているというこのリアリティにあると思っています。
その経営の中で常に意識していることが上記で引用したことです。そして、個人的にはここの能力は高い方なのではと自負しております(優れた経営者かどうかはもちろんこの能力だけでは判断できないと思います。私も経営者として日々精進中です)。この全体最適を見る能力に自信があるので、自社の経営に日々集中されている中小企業経営者とは違った外部の第三者という立場で、財務を機軸にしながら、経営者が見落としがちな視点や観点をフォローできる、そんな風に考えています。そして結果、中小企業の業績・資金の最大化に貢献できる、そんな風に考えているのです。
「多・長・根」、私は念仏のように唱えることはありませんが、大局観を養うのに良い概念だと思いましたのでご紹介しました。ご参考までに。
<明日もこの書籍の一部をご紹介します。>