木村美都子税理士事務所 木村昌宏税理士・社労士事務所

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2015年12月01日
フォーカス・マーケティング

マーケティングやブランディングの話をしていると、よく「ペルソナ」という話が出てきます。誰か1人に届くように商品・サービスや広告物を作ろうという話もよく出てきます。「ペルソナ」と「誰か1人」は同じ人物なのか?違うのか?

ペルソナ・マーケティングとフォーカス・マーケティングという視点でこの辺りを整理されている書籍があったので、今日はそのご紹介です。少し前の書籍になりますが、阪本啓一『「たった1人」を確実に振り向かせると、100万人に届く。「市場の空席」を見つけるフォーカス・マーケティング』(日本実業出版社 2012年10月)です。

たった1人.jpeg

P.200、201
ペルソナ・マーケティングとは、「ペルソナ」と呼ばれる架空の人物を想定し、その人が満足するように商品を設計するマーケティングのことだ。
ターゲットする顧客像を性別、年齢、居住エリア、年収、学歴、職業、身体的特徴、ライフスタイルなどのプロフィールとして設定。その顧客セグメントに沿った定量的なデータから何人か抽出し、インタビューを重ね、定性的データで肉付けする。
こうしてできあがったペルソナが満足するような商品を設計する。「顧客志向」に科学的(定量的・定性的)データを裏付けしようとするものである。
しかし、データはあくまでデータであり、ペルソナはフィクションの世界の住民であって、類推、推測の域を出ないことは否めない。

P.204、205
「たった1人」にフォーカスする新しいマーケティングは、現実に目の前(PCやスマートフォンのスクリーンの向こう側)にいる1人に集中しよう、というものであり、「生身の人間」に焦点を当てる。架空のペルソナではない。
これを「フォーカス・マーケティング」と呼ぼう。
フォーカスするのはたしかに目の前の1人だが、目的はメッセージをただ一方的に投げるだけではなく、「対話」をすること。
「対話」した結果、「信頼」が生まれ、そこに「物語」が紡がれる。そして、その「物語」は、顧客と企業のマーケター両方の「記憶」となって、互いの「思い出」の中に生き続ける。
カオナシではなく、顔の見えるマーケターが、つまり、生身の君が、そこにいる。

以前、ブランディングの勉強をした時、架空の人物であるペルソナ設定をさせられることにとても違和感を覚えました。今思うと、ペルソナでは類推、推測の域を出ないので、どうしても議論が上滑りしている感じがあったことがその時の違和感だったのだと思います。

誰か1人の生身の人間をイメージするフォーカス・マーケティング。誰か1人を徹底的に満足させる。その満足がその1人の大切な人にシェアされ、結果多くの人に伝わっていく。私の中ではフォーカス・マーケティング、けっこうしっくりくる概念でした。

ちなみに、「ペルソナ」の場合に使われている言葉が「ターゲット」、「たった1人」の場合は「フォーカス」、言葉の使い方1つにも考え方の違いが表れている気がしています。

<次回の投稿は、大阪出張を投稿予定です>

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