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贈与時の注意点と暦年課税制度、相続時精算課税制度以外の贈与の目的に応じた特例制度


これまで、贈与税における暦年課税制度と相続時精算課税制度について見てきました。

以前も軽く触れましたが今回は贈与時の注意点と、その他の贈与制度についても見ていくこととします。

贈与税の暦年課税制度について

贈与が税務署から否認されないために

民法上、贈与は一方が意思表示をし、相手方が受諾すれば成立します。

ただし、贈与税の基礎控除以下でも、相続税などの申告の際に税務署が贈与と認めない場合、「貸付金」等とみなされて相続財産になってしまい、相続税が増加する可能性があります。

こうしたことを避けるためや、他の相続人とのトラブルを回避するためには下記に事項の注意が必要です。

①贈与証書の保管(互いの意思表示の記録)
②贈与者が通帳や印鑑を管理しない(もらった人が自由に利用できる)
③入出金の記録(出金・入金とも通帳を通しておくと確実です)

相続開始前3年以内の贈与加算に注意

「相続人」に相続開始前3年間に贈与した財産があれば相続財産に加算します。この制度を 「相続開始前3年以内の贈与加算」といいます。

具体的には、上記図のようなイメージとなり、確認が漏れることの多い項目です。このように、贈与税の基礎控除以下の財産も相続財産に加算されます。亡くなる前3年間の贈与は、結果的に相続税対策にはなりませんので注意が必要です。

ただし、この制度の適用は相続又は遺贈により財産を取得した人への贈与に限られます。よって「相続人でない人(養子でない孫など)」や「財産を取得しなかった相続人」への贈与は、相続税を減らす効果がありますので、こういう場合は有効に活用できます。

また、相続時精算課税を一度利用した場合は暦年課税に変更できませんが、贈与者が子に相続時精算課税で贈与後も他の子や孫に暦年課税で贈与をすることは可能ですので、誤解のないようにしていただければと思います。

その他の特例的な贈与制度のご紹介

贈与の税制については暦年課税制度、相続時精算課税制度以外に、贈与の目的に応じた特例制度もあります。

まず、子や孫への特例としては、
住宅取得資金
教育資金
結婚・子育て資金
等があります。
これらは時限立法だったりしますので、いつまで適用可能なのかを確認しながら贈与計画を立てる必要があります。

相続時、孫には養子縁組か遺言でしか財産を遺せません。加えて孫が取得した財産の相続税には2割加算される規定があります。そのため、これらの特例を利用した孫への贈与は節税の効果が高くなりますので検討の価値はあると思います。


続いて配偶者への居住用不動産の贈与の特例です。
婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭を贈与した場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで無税となります。この場合、贈与税の申告が適用要件となりますので忘れずに申告を行ってください。同じ配偶者からの贈与は一生に一度のみとなります。

配偶者への居住用不動産の贈与は、相続開始前3年以内の贈与加算の対象外となります。

本特例は暦年課税と合わせると合計2,110万円まで贈与税が無税となりますが、不動産価額(固定資産税評価額)に対して別途課税が発生します。本特例を利用する場合、相続で取得するよりも諸費用がかかってきますので、贈与と相続のどちらが有利なのか検討が必要となります。

まとめ

以上、3回にわたって贈与の税制について見てきました。

概要はわかっても、実際にこの贈与計画案で大丈夫なのか。
そもそもこの法解釈で正しいのか。
後々家族でもめてしまわないか心配、、。
検討漏れの事項はないか。

等々、知れば知るほど不安な点が出てきてしまうのも事実かと思っております。
そのような場合は、ぜひ気軽にご相談ください。

初回相談は無料で行っております。
もし必要な作業等が発生する場合は、必ず事前に御見積書を提示し、合意が取れた時以外は次工程へは進みませんので、安心してご相談いただけたらと思います。