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家族全員で相続のことを考える

以前、相続の申告を行ったお客様。そこから十数年が経ち、今度はご本人の相続対策を検討することになりました。お客様は、ひとりで検討するのではなく、家族全員を集め皆で話し合って方向性を決めていきました。今回は円満に話し合いができた相続の事例をご紹介します。

きっかけは相続シミュレーションから

十数年前に相談者の両親の相続のお手伝いをいたしました。

相続手続きが無事終わった頃、相談者の相続シミュレーションも実施しておりました。その頃は少し相続税が発生する財産内容でしたが、まだご本人も若く、相続対策については少し様子を見たいとの話で終わっていました。

最近になり物忘れや体調不良など不安に感じることがあり、様子を見ていた相続シミュレーションを改めて作成して欲しいとの話がありました。

さっそく作成してみると、やはり少し相続税がかかる見込みとなりました。ただシミュレーションを作成しただけでは意味がありません。本人の体調不良も気になりますので、家族全員にお話させていただく機会をいただきたいとお伝えしました。

相談者はすぐに「相続のことを説明してもらうから全員集まるように」と家族に伝えて、その段取りをしていきました。

この相談者の行動こそが、円満な相続になるか、ならないかの分かれ道と言っても過言ではありません。家族と話ができないまま相続が起こってしまう、というケースがじつはけっこう多いのが実態です。

その後、家族全員が集まる日を迎えました。
当事務所からの説明を受けながら、全員が相続のことを真剣に考え、思いを伝え合った結果、具体的な遺産分割についてまで話し合ってもらうことができました。

現在はその整理を行っている途中です。
家族全員で相続について共有できること。これがどれほど重要か。

長年に渡って様々な相続に関わってきた私たちが常々感じていることです。

一番の心配事から確認

では、どのように話し合いは進んでいったのでしょうか。

相談者は父。相続人は母、長男、二男、長女の4人です。
財産は自宅の不動産、駐車場用地、アパート、遊休地2か所で、預貯金も多少あります。

まず、家族が一番の心配事となっていることは何なのかを確認していきました。
一番に出てきたのが不動産の管理でした。

父が全てをひとりで管理しており、母は一切わからないという状況でした。
父が亡くなった後に相続人らが急に管理するのは難しいことです。このことは相続人全員から直接父に話がありました。

当事務所からは、物忘れや健康面の不安があるなら、不動産管理会社に依頼する事も選択肢の一つだとご提案いたしました。相続人全員でこの案には賛成です。父も管理が大変になってきていると感じていたため、すぐに意思決定ができました。

その後管理会社を探し、見積りを取り、すべて任せることになりました。

続いて相続税のことが話題になりました。妻と子供は相続税についてほとんど知りません。また、父にどれほどの財産があるのかも把握できていませんでした。

そのため相続シミュレーションを使い詳しく説明していきました。
やはり相続税は気になるようで、何か対策はできないかとお話がありました。

相続税対策と納税資金対策

相談者は生命保険に加入しておりませんでした。
そのため相続税対策効果の高い終身保険の加入をすすめました。

死亡保険金には、相続税の非課税限度額の適用があります。
今回は500万円×相続人(4人)=2,000万円までは非課税です。
相続税を少し抑えることができ、相続人の納税資金の確保にもなります。

しかし、自分の生活費用やアパートの修繕費用を残しておかないと、となかなか父は決断できません。そのためさらにご提案をいたしました。

遊休地2か所について売却のご提案です。
遊休地を売却することにより資金が増え、生命保険を確保しつつ、ある程度の預貯金の確保もできます。

遊休地の売却はタイミングもありますので、すぐに資金化できるかわかりません。しかしながら、今回は買い取りたいとの打診が少し前にあったとのことでした。何か不動産活用ができるような広さの土地ではなかったため父はこの提案を受け入れました。

その後売買が終わり資金もできたため、生命保険に加入することになりました。
生命保険の受取人は長男にして、納税資金の準備も整えました。

続いて相続税の特例の適用の話をしました。

現在長男はアパートに居住しておりましたが、自宅はいずれ長男が相続する予定となっていました。そのため先行して同居を検討していただくことにしました。小規模宅地等の特例の、特定居住用宅地を適用するためです。

父の体調も芳しくないため母だけでなく長男もサポートに入っていただきつつ、相続税においても特例が利用できるようになり、自宅の不動産の評価額もかなり下がる旨の説明をしました。具体的に相続シミュレーションの数字を使い説明したところ、長男はすぐに同居することを決めました。

最後に自宅以外の遺産分割についても話をしました。母と二男と長女は特に財産が欲しいという様子はありませんでした。家から出ている二男と長女は、長男に財産のほとんどを相続してもらい守っていってほしいという希望がありました。そのため相続の主張もしないということでした。

今後状況が変わることがあるかも知れませんが、この段階での分割協議の方向性も固まり、家族全員で相続についてすべての方向性をまとめることができました。

家族皆で相続のことを共有することは大事

今回の話し合いでは、相続税の基礎知識から、相続財産の内容把握、生命保険の非課税限度額のこと、納税資金の準備のこと、遊休地の処分のことなど、説明する必要のある内容が多岐にわたっていたうえに、意思決定が必要な内容も多くありました。

それにもかかわらず、このご家族はすべての方向性を1日でしかも円満に決定することができました。

当事務所はいつでも、家族全員に対して説明や提案をすべてしておきたいという気持ちが強くありますし、相続のことをよく知らないご家族に対しても丁寧な言葉に置き換えをして納得いくまで説明をし、すべてを理解していただけるように最大限の努力をしております。

しかしそれ以上に大切なのは、家族全員が本気で相続に向き合い、財産を遺す者はどうしたら良いか、相続する者たちはどうすれば良いか、を真剣に考え、思いを伝え合いながら方向性を決めることができるかどうかです。

こうして事前に話し合いができた家族は、いざ相続が起こった時にも迷うことなく手続きが進んでいくことでしょう。

まとめ

当事務所では、このように生前の相続対策がとても重要だと考えております。

相続が始まってから10か月で相続税の申告期限を迎えます。それまでに遺産分割協議も整えることが必要となります。その時に大変な思いをしないように、生前から相続のことを考え準備しておくことを強くお薦めしています。

相続のことは家族全員の協力が必要になりますが、難しい場合には私たちが入って一緒に考えていくことができます。まずは一度家族全員でお話をする機会を作ると良いと思います。そうすることで、家族全員が安心して相続を迎えることができるようになります。

相談するかどうかもし迷われていましたら、その場合はぜひ一度ご相談にいらっしゃってください。ご相談はもちろん無料です。方向性が見えるだけでもその後の相続に対する不安がかなり減ると思います。

相続税が出るのかなというシミュレーションのご相談でも大丈夫ですし、相続税はでないと思うけれどどのように分けたら良いのかわからないというご相談でも大丈夫です。どうぞ気軽にご相談ください。